いびき

いびきとは

いびきは、睡眠中に音を立てて呼吸をしている状態のことをいいます。
睡眠時も起きている場合と同様、鼻もしくは口から呼吸を行い、空気が気道を通って肺に至ります。

ただ、何らかの原因によって上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)が狭窄してしまうと、呼吸時にのどちんこや咽頭等の粘膜が振動するなどして音(振動音)が発せられるようになるのですが、この音のことをいびきといいます。

いびきについては、本人が気づくというよりは、同居するご家族の方に指摘を受けて、初めて気づくというケースが多いです。
人は疲労困憊状態になると、全身の筋肉は緩み、とくに舌が喉の方に落ち込むなどすれば、気道が狭窄していびきがでることはあります。

ただ呼吸が一時的に止まるほど大きないびきをかいている場合は、睡眠時無呼吸症候群を発症していることが考えられます。
この状態を放置し続けると、睡眠不足が慢性化するなどして生活の質を低下させたり、生活習慣病を併発するリスクが高まったりするので、これといった症状がなくても一度当院をご受診ください。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に一時的に呼吸が停止したり、浅くなったりしている状態のことを睡眠時無呼吸症候群(SAS)といいます。
具体的には、7時間の睡眠で10秒以上の無呼吸、あるいは低呼吸状態(換気量が50%以下)が30回以上ある場合(1時間あたりでは5回以上)としています。

なお呼吸停止の原因は大きく2つあるとしています。
ひとつは、空気の通り道である気道(上気道)が何らかの原因によって閉塞することで起きる閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)です。
ちなみに全SAS患者様の大半がOSASによるもので、気道閉塞の原因としては、肥満(首回りについた脂肪)、扁桃腺の肥大、舌の巨大化、先天的に顎が小さい等があります。
もうひとつは、中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)と呼ばれるタイプで、脳の呼吸中枢が機能しないことで呼吸指令が出なくなるなどして、睡眠中に呼吸が停止してしまう状態になります。
原因としては、心不全や脳血管障害(脳梗塞、脳出血 等)などが挙げられます。

よくみられる症状ですが、睡眠中の無呼吸や低呼吸をはじめ、夜中に目が覚める(中途覚醒)、夜間頻尿、起床時の頭痛、日中の強い眠気、大きないびきがあります。
なおいびきについては、気道が閉塞されているタイプのみに起きるもので、CSASの患者様にみられることはありません。

診察の結果、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)が疑われるとなれば、簡易検査が行われます。
この場合、睡眠中の呼吸状態やSpO2を測定する機器を当院から患者様へ貸し出します。
患者様は、就寝前に検査機器に付いているセンサーを鼻の下や指先に付けて眠りにつくだけで検査開始となります。
その結果、詳細な検査が必要となれば、医療機関で一泊入院しての検査(PSG:ポリソムノグラフィ)となります。
同検査では、呼吸状態やSpO2以外にも、脳波、心電図、筋電図なども計測します。
これによって無呼吸低呼吸指数(AHI)として数値化し、発症の有無だけでなく、SASの重症度も判明するようになります。
その結果、AHIが5以上という場合はSASと診断され、5以上15未満が軽症、15以上30未満が中等症、30以上が重症と判定されます。

治療について

OSASの患者様は症状の程度によって治療内容が異なります。
軽症であれば、オリジナルのマウスピースを作成し、就寝時に装着します。
その際は、気道が閉塞しないように下顎は前に突き出す形で固定します。

またPSGの結果からAHIが20以上と判定された場合は、CPAP療法となります。
なおCPAPとは、持続陽圧呼吸療法とも呼ばれるもので、圧の加わった空気を送ることができる装置のことで、患者様に貸し出されます。
同装置にある鼻マスクを装着して眠りにつけば、圧力が加わった空気が鼻から送られるようになるので閉塞状況は回避され、いびきも解消されるようになります。
なお貸し出し中の間は、一定の間隔(1ヵ月)で通院していただきます。

ただこれらの治療というのは対象療法です。
そのため、原因がはっきりしているのであれば、完治に向けた取り組みも必要です。
例えば、肥満が原因であれば減量、お酒の飲みすぎであれば節酒などをして生活習慣を見直します。
また扁桃肥大、気道を広げて容易に呼吸ができるようにしたいなどについては、手術療法が選択されます。

またCSASの患者様は、原因疾患の治療が優先となりますが、医師が必要と判断した場合は、CPAPによる治療を行うこともあります。