舌下免疫療法とは
当院では、アレルゲン免疫療法のひとつでもある舌下免疫療法による治療も行っています。
そもそもアレルゲン免疫療法とは、アレルゲン(抗原:アレルギー反応を引き起こす原因物質)を体内へ少量ずつ投与することで、身体を慣らしていき、それによってアレルギー症状を改善させていくという治療法になります。
このアレルゲン免疫療法は、注射によってアレルゲンを皮下に注入する皮下免疫療法とアレルゲンを含んだ錠剤を投与する舌下免疫療法があります。
どちらを選択しても治療期間は3年以上の長期間に及び、すべての患者様に改善傾向がみられるわけでもありません。
なお舌下免疫療法は、花粉のスギ、もしくはダニがアレルゲンであるという患者様を対象としており、5歳以上から治療は行えます。
開始にあたっては、スギあるいはダニが、アレルゲンであるかどうかを調べる検査も行います。
ちなみに両方ともアレルゲンである患者様につきましては、同時に行うことも可能ですが、開始時期を1ヵ月半程度ずらす必要があります。
なぜなら副作用は開始して間もない時期に起きやすく、どちらが原因であるかをわかるようにするためです。
舌下免疫療法とは
アレルゲンを含んだ錠剤を2~3分ほど口に馴染ませてから飲み込みます。
1回目の投与については、アナフィラキシーなど重度な副作用が起こるリスクも考えられるので当院内での投与となります。
問題がなければ、次の日から自宅での投与となります(1日1錠)。
開始後まもなくは少量のアレルゲンですが、その量を徐々に増やしていき、一定量に達すると、その量を維持した状態で長期間投与していくことになります。
開始時期に関してですが、ダニアレルゲンの舌下免疫療法(ミティキュア)に制限はありませんが、スギアレルゲンの舌下免疫療法(シダキュア)については、スギ花粉の飛散時期を避ける必要があります。
治療期間は3~5年はかかるとされ、完治率は2割程度とされていますが、同療法によって症状が改善したという患者様を合わせると8割程度の方に効果がみられたといわれています。
期待できる効果としては、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど鼻炎症状の改善、目のかゆみや流涙など結膜炎の症状の改善、アレルギー症状を抑えるために使用していた薬物療法の減量などがあります。
副作用について
舌下免疫療法を行うことによる副作用としては、口の中で腫れやかゆみがみられる、喉に刺激や不快感がみられる、耳がかゆいなどの症状が現れることがあります。
重篤な症状としては、まれですがアナフィラキシーが起きることもあります。